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民法

第三節 遺言の効力


第985〜993条
第九百九十四条
 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
2  停止条件附の遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様である。但し、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
第九百九十五条
 遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によつてその効力がなくなつたときは、受遺者が受けるべきであつたものは、相続人に帰属する。但し、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
第九百九十六条
 遺贈は、その目的たる権利が遺言者の死亡の時において相続財産に属しなかつたときは、その効力を生じない。但し、その権利が相続財産に属すると属しないとにかかわらず、これを遺贈の目的としたものと認むべきときは、この限りでない。
第九百九十七条
 相続財産に属しない権利を目的とする遺贈が前条但書の規定によつて有効であるときは、遺贈義務者は、その権利を取得してこれを受遺者に移転する義務を負う。若し、これを取得することができないか、又はこれを取得するについて過分の費用を要するときは、その価額を弁償しなければならない。但し、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
第九百九十八条
 不特定物を遺贈の目的とした場合において、受遺者が追奪を受けたときは、遺贈義務者は、これに対して、売主と同じく、担保の責に任ずる。
2  前項の場合において、物に瑕疵があつたときは、遺贈義務者は、瑕疵のない物を以てこれに代えなければならない。
第九百九十九条
 遺言者が、遺贈の目的物の滅失若しくは変造又はその占有の喪失によつて第三者に対して償金を請求する権利を有するときは、その権利を遺贈の目的としたものと推定する。
2  遺贈の目的物が、他の物と附合し、又は混和した場合において、遺言者が第二百四十三条 乃至第二百四十五条 の規定によつて合成物又は混和物の単独所有者又は共有者となつたときは、その全部の所有権又は共有権を遺贈の目的としたものと推定する。
第千条
 遺贈の目的たる物又は権利が遺言者の死亡の時において第三者の権利の目的であるときは、受遺者は、遺贈義務者に対しその権利を消滅させるべき旨を請求することができない。但し、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
第千一条
 債権を遺贈の目的とした場合において、遺言者が弁済を受け、且つ、その受け取つた物が、なお、相続財産中に在るときは、その物を遺贈の目的としたものと推定する。
2  金銭を目的とする債権については、相続財産中にその債権額に相当する金銭がないときでも、その金額を遺贈の目的としたものと推定する。
第千二条
 負担附遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責に任ずる。
2  受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者が、自ら受遺者となることができる。但し、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
第千三条
 負担附遺贈の目的の価額が相続の限定承認又は遺留分回復の訴によつて減少したときは、受遺者は、その減少の割合に応じてその負担した義務を免かれる。但し、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

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